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俺は用心棒(3)
価格:¥ 5,250
出演:栗塚旭
おすすめ度
出演:栗塚旭
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反体制の気概
原作・脚本結束信二、主演栗塚旭。彼らの手による『新選組血風録』『燃えよ剣』と並んで、テレビ時代劇史上の最高傑作。25%近い高視聴率を誇った人気時代劇。
中国文学者であり京都大学助教授であった故高橋和己氏は、1960年代から70年代に最も学生に人気があり、卒業論文にとりあげられる頻度第1位の作家として有名であった。『邪宗門』『悲の器』など人間の本質をえぐり、社会と個人との相克を描いた重厚な作品群で知られる。その高橋が『俺は用心棒』のファンだったらしい。彼の未完となった、テレビ界の暗部を鋭く突いた作品『白く塗りたる墓』に次のような文章が現れる。
「ニヒリスティックな流浪の浪人たちが活躍していたはずの時代劇は、あっと気付いてみると主役達の役柄がいつの間にか幕府の隠密に転じて威張りかえっていた。」
前者は『俺は用心棒』を指し、後者は『天を斬る』を指す。『天を斬る』は幕府に捨石にされた驀臣が主人公で、決して「威張りかえって」はいない。ところが、実はこれに対応するような文章を最近読んだ。主演の栗塚旭が某雑誌でこう述べているのだ。
「アウトローの役どころばかりだったのが(『天を斬る』では)体制側の隠密役となり、若干とまどいながら演じました。」
権力者あるいは権力の末端にある者が下の者を助けるという、ドラマの世界では当たり前でも、実際には極めて偽善的な構図を演じることに、抵抗を感じる役者がどれほどいるのだろうか。私は栗塚のこの言葉に、栗塚自身の役者としての気概と矜持の高さを感じ、大いに感動した。『俺は用心棒』はこの2つの言説によって証明されるように、体制や権力を批判し、あくまで庶民や弱者の側に立った稀有な作品である。昨今、反体制という言葉は死語になっているのかも知れないが、体制や権力に迎合しない姿勢だけは持ち続けたいものである。
「第5話 紅さんご」 寺田屋事件の頃のエピソードだろうか。薩摩藩内部の抗争とそれに巻き込まれる娘の悲劇を描く。当時のアイドル小川知子が健気で可愛い。
「第6話 銃声」 開国によって舶来の銃を手に入れた武士が農民を試し撃ちにする。農民の父が、息子の仇を討とうとするが・・・。江戸時代の農民の気骨を描いて秀逸。永井柳太郎の名演技がいつまでも心に残る。全26話中の白眉の回。