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俺は用心棒(4)
出演:栗塚旭
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当時、米ソ両陣営による左右の対立は宇宙までをも舞台にし、人類全体が核戦争の恐怖にさらされていた。国内でも高度経済成長は公害、労使紛争、学園闘争など多くの社会矛盾を生み出し、それらが左右のイデオロギー対立という形に集約されることも多かった。そんな1967年、『俺は用心棒』は放映された。結束による時代への勇気ある意見表明は、幕末という時代に仮託されて行われたのである。
尊王攘夷という遠く宋の時代に生み出されたイデオロギーは、幕末日本で時代を動かすエネルギーとなった。だが、幕府を倒す中心となった薩摩・長州は尊王攘夷を標榜しつつ、内実は開国であり、洋式軍制で武装した。幕府に攘夷を迫りながら、自らは外国と深く結んだ。イデオロギーの仮面のもとに、権力奪取を謀る。政治という名のこの欺瞞を、結束は用心棒を通じて静かに指弾する。結束のよりどころは、庶民の目線、庶民の立場であった。庶民から見れば、尊王攘夷も倒幕も佐幕も、権力の方向と行き先を示す言葉であり、権力は常に彼らを圧迫する存在でしかない。
用心棒は、庶民の味方であり、弱い者を守る。イデオロギーとは無縁だ。思想のための思想をもてあそぶのではない。用心棒は、現実の状況と人間の命に根ざした存在なのである。
それはそのまま、当時のイデオロギー対立とそれを利用しようとする権力者への批判ともなっていた。
「第七話 蒼い獣たち」 原健策と子役・岩村百合子の演技が胸を打つ。勤皇か佐幕か、揺れる藩の内紛が悲劇に発展する。
「第八話 赤い提灯の下」 桜町弘子の上手さが際立つ。やくざを相手に剣を振るう用心棒の殺陣が、何とも見事。栗塚旭の豪快な立ち回りに胸がすく。その後、店にたたずむ用心棒の哀愁を帯びた表情が美しい。赤い提灯が、本当に赤くみえる。