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俺は用心棒(2)
出演:栗塚旭
おすすめ度
栗塚演じる主人公に名前が無い。これは異例のことである。だがここに深い意味がある。
彼は自分自身を用心棒と名乗ったり、野良犬と称したりしている。
彼は主人公であるが、彼自身のドラマが描かれるわけではない。彼は、あくまで狂言回しの役割を与えられているに過ぎない。主人公は、毎回ごとに描き出される市井の庶民なのである。
それは、あるときは若党であり、あるときは浪人の家族であり、あるときは故郷を離れて奉公する丁稚だったりする。だが時代が激しく揺れ動く幕末にあって、彼らが求めるささやかな幸せも平凡な暮らしも、時として踏みにじられていく。野良犬は、そんな彼らの用心棒として剣を振るう。
時代や社会と、そこに暮す人々の関係、またその人々と野良犬との関係が複雑に絡み合い、
そのストーリー展開の面白さは無類である。
そしてニヒリズムの極致である栗塚の演技の素晴らしさはどうだろう。彼がニヒルに徹すれば徹するほど、真の主人公である市井の人々の喜び、悲しみそして怒り、苦しみが観る者に臨場感と説得力をもって伝わってくるのである。名前のない主人公は、栗塚の演技力あってこそである。
「第3話 昏い渦巻」 浪人狩りにあい、獄舎に捕らわれた野良犬。設定の面白さに、引き込まれる。
裏切り者として殺された浪人の娘役の佐々木愛が素晴らしい。野良犬に付けられた仮の名「一色大五郎」は、十数年後に『暴れん坊将軍』の中の栗塚の役に引き継がれる。
「第4話 脱出」 攘夷を決行し失敗した浪士を待っていた運命。意外な展開が待っている。野良犬と高杉晋作の革命論議は、全編を通じての見どころ。結束信二の勇気ある意見表明。巷のテレビドラマと一線を画する作品であることを実感する瞬間。