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俺は用心棒(7)
出演:栗塚旭
おすすめ度
昨今、映画・テレビドラマ・小説が「うすっぺらになった」と評されている。主人公が不幸にならないように、ストーリーを受け手が改変するのだという。不愉快なエピソードは退けられ、「快」となるように、受けての顔色を伺いながら制作されるのだそうだ。暗い・重い・辛いは勿論排除される。視聴率をとる、観客動員を図るためには、このような方法がよいのだそうである。市場調査の上、話題のケータイ小説やコミックを原作とするのが資金回収の安全弁だそうだ。これが脚本家が育たない原因にもなっている。市場原理優先が文芸の先行きを危うくしているのである。時代劇もそれらに対応するように、鬘をかぶり着物を着て演じる恋愛ドラマ、ホームドラマに形を変えてきた。特に女性の描かれ方は、封建制度下にもかかわらず現代の女性とほとんど変わらない。元気で、自立心旺盛で、男性と対等である。
しかし本来、歴史上の事実は「快」ではない。生きることの困難そのものが歴史である。だがそこから、現在に至る人間存在の崇高さも生きる希望も生まれた。特攻隊生き残りの結束が、『俺は用心棒』を通じて描こうとしたものは、こうした人間の尊厳そのものであったのではないか。
『俺は用心棒』が人気時代劇だった背景には、高度経済成長やそこから生み出される社会矛盾、イデオロギー対立の先鋭化や核戦争の恐怖があった。若者や社会的弱者の熱気をはらんだ既成社会への異議申し立てが、社会全体に大きな緊張感と活気を与えていた。社会のあるべき姿に対して多くの人々の発言がなされた。生身の人間のぶつかり合いがあったのである。そのような疾風怒濤の時代が名作を生んだと言える。
「第13話 雷雨の日に」芹沢鴨という実在の人物の登場が、時代とのかかわりを鮮明にする。リアルさと重みが増した。遠藤辰雄の存在感。彼こそ芹沢だ。佐々木愛が切なく、愛らしい。里見浩太郎も若い。芹沢暗殺の場面は必見、栗塚土方か。
「第14話 光った包丁」桜木健一が初々しい。若い職人を好演。最後まで目が離せない筋立て。